AIの学習モデルの種類と主な自然言語系AIの利用モデル

AIで利用されているモデルの学習方法の違いと、主な自然言語系AIで利用されているモデルの種類や特徴をまとめました。

公開日: 2023.4.17

AIのモデル学習の種類と特徴

モデルの種類解説使われる分野
教師あり学習人間がラベル付けをしたデータを使い、入力と出力の関係性を学習するモデル。予測をする際には、学習済みのモデルを使って新しい入力データを予測する。画像認識、音声認識、自然言語処理、分類、回帰
教師なし学習ラベルがないデータを使用し、データ内のパターンや構造を自動的に見つけ出し、データをグループ化したり、特徴を抽出することができるモデル。クラスタリング、次元削減、異常検知
強化学習ある目的を達成するために、環境との相互作用を通じて自律的に学習を行うモデル。報酬と呼ばれる価値判断を基に、最適な行動を決定していく。運転などの制御、ロボット工学、ゲームAI、金融市場の投資戦略
半教師あり学習ラベルが付与されていないデータと、ラベルが付与されたデータの両方を使用するモデル。大量の未ラベルデータからパターンを学習し、少量のラベルデータから得た知識を活用することで、予測精度を向上させることができる。画像認識、音声認識、自然言語処理、レコメンドシステム
転移学習ある問題の解決に役立つ知識を別の問題に応用するモデル。あるタスクの学習において得られた知識を、異なるタスクの学習に再利用することで、学習データの少ない問題において高い性能を発揮することができる。自然言語処理、画像認識、音声認識、物体検出、顔認識、データマイニング

これらのモデルの違いは、学習データの有無やラベルの有無、学習方法や目的などにあります。

主な自然言語系AIの学習モデル

BERT(教師なし事前学習&転移学習)

BERTは、Googleが開発した自然言語処理における転移学習のモデルです。ここ数年で生まれた自然言語系AIのモデルの多くがBERTを改良する形を取っており、その意味では「自然言語系AI学習モデルの先祖」とも言える存在です。

BERTは、ラベル付きデータを使用せずに、膨大な数のWebページから自動的に収集された大量のテキストデータを使用して、自然言語処理のタスクを学習します。

Googleが開発した自然言語処理モデルということもあり、同社の検索エンジンにも「検索意図を汲み取る」という目的で、活用されています。

XLNet(教師なし学習)

XLNetは、BERTと同様にGoogleが開発した自然言語処理モデルです。

XLNetは、BERTと異なり「順序のある文章を学習する」という特徴があり、発表された当時は「BERTを超えた自然言語処理の最新モデル」とも言われました。

XLNetは、マスク間の依存関係を学べないというBERTの弱点を、単語の並べ替えによって解決しています。これにより、XLNetはより自然な文章を生成でき、より良い予測精度を実現できます。

RoBERTa(教師なし学習)

Facebookが開発したBERTの改良版がRoBERTa。

RoBERTaは、トークン化や学習データの前処理などに改良を加え、BERTよりも大量のデータでトレーニングすることで、BERTよりも高い性能を発揮することができます。

特に自然言語推論タスクや自然言語生成タスクで高い精度を発揮することが報告されており、異なる言語にも適用可能であることから、多言語のテキスト処理にも活用されています。

ALBERT(教師あり事前学習モデル&転移学習)

ALBERTは、Googleが開発したBERTの改良・軽量版で、EfficientNetの設計原理を利用して、BERTモデルを効率化し、高速かつ効率的に自然言語処理タスクを実行するために開発されました。

従来の自然言語処理モデルでは、大規模なモデルを学習するためには大量のGPUが必要でしたが、ALBERTでは「パラメータ共有」という独自の仕組みを利用して、より小さなモデルでも高い精度を達成しています。

ELECTRA(教師なし学習)

ELECTRAは、BERTをベースとしてOpenAIが提唱した自然言語処理における最新の大規模言語モデルの一つです。

同じくOpenAIが開発するGPTとの違いは、ELECTRAが「目隠しされたテキストから、元のテキストを再現する」ことで学習するのに対して、GPTは「前の単語から次の単語を予測する」ことで学習をします。

これらの違いは利用目的の違いにもつながっていて、ELECTRAはデータの正否を、GPTは文章の予測や生成などを得意としています。

GPT(教師なし学習)

GPTは、OpenAIが開発した自然言語処理のための大規模なニューラルネットワークモデルです。

GPTは、Web上のテキストコーパスから事前にトレーニングをし、膨大な量のテキストを理解することで、自然言語の文法や文脈を学習します。そのため、GPTは、テキストの生成、翻訳、クラス分類などの自然言語処理タスクを実行できます。

また、その膨大な学習量によって、GPTを利用した対話型AIサービス「Chat GPT」のように、GPTはテキストに強いAIモデルで、自然な会話や文章生成が必要な場面で、GPTは高い精度と人間に近い自然さを発揮します。

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